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2009年11月 7日 (土)

粘り勝ち(4)

〈開銀融資〉

 以下のような問答があった。

大蔵省 いったい、通産省は国産電子計算機がどれほど売れると見込んでいるのか。
通産省 61年度から5年間の累計総額は500億円を超えるであろう。
大蔵省 それは非常にけっこうだが、市中金融機関からの融資などでまかなえないのか。
通産省 市中金融機関は電算機に担保性を認めていない。ゆえに国策として実施しなければならない。
大蔵省 基本的に開銀融資は不動産には適用できるが、計算機は動産である。開銀融資の対象にはならない。民間で十分対応できる話ではないか。

 ――何としても国のレンタル制度を作らなければならない。
 その思いで平松は食い下がった。
 「開銀融資が適用できないことぐらい分かっている。だからこそ法律を作る」
 すると大蔵省はいった。
 「だから法律は作らないほうがいい」
 平松が怪訝な表情になったのを見て相手は言葉を継いだ。
 「新たに法律を作れば、時限で見直しが入る可能性がある。あれこれを国会で審議していると時間もかかるし、制約も大きい」
 「それはそうだが……」
 「こういう技術革新が激しい分野では、国策会社は作らないほうがいい。なぜなら肩書きばかりが重い一丁あがりの古役人の天下り先になってしまう。おまけに窓際の官吏の吹き溜まりになって、いい結果が出ない」
 「じゃ、どうしろというのか」
 平松が憮然としていると、その大蔵官僚は言った。
 「おまえが開銀を説得させたなら、あとはおれに任せろ。おれが民間方式に道を開いてやる」

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